研究概要 |
昨年に続き次の二つの領域について検討を進めた。 (1)品質満足完了尺度を導入したVoIP網接続方式 品質管理対象を呼として、呼受付制御(Call Admission Control)を導入し,トラフィックエンジニアリングへの適応も考慮した、VoIP網接続方式の検討を進めた。昨年度までに基本原理と効果を確認した迂回ルーティング網安定化技術(品質資源留保方式)をMPLSの対地間VC割り当てプロセスに導入した分散集中ハイブリッド型の方式構成を提案た。5ノード5000erl.規模の計算機シミュレーションによる性能評価実験を進め、品質資源留保による網の安定化と、対地間トラヒック変動へ適応したVC資源の動的配分が達成されることを確認した。成果を電子情報通信学会通信ソサイエティ大会およびCQ研究会へ発表し、論文投稿作業中。 (2)サービス選択行動を意識した通信品質向上に向けた検討 CDMA移動通信システムを対象として、セルのミクロ化に伴うハンドオフ呼損の増加を抑えるための優先接続法を提案した.前年度までに提案した、ユーザ申告ベースの制御機構をCDMAセルラ通信の送信電力制御(TPC)に適用した。許容送信電力の上限値に関して、優先、非優先端末に一定の差を設ける選択型TPC(Selective TPC : STPC)を提案し,計算機シミュレーションによりその効果を検証した.申告したユーザの優先接続は,セルスループットの低下と一般呼への圧迫を伴うが、STPCは,それを構成するFeedForward型の制御がトラヒックの変動に迅速に対応し,FeedBack型の制御が微調整を行うことによって,トラヒック状態に応じて一般呼への影響を小さく抑えつつ申告呼のハンドオフ呼損率を改善し,効率のよい優先接続を実現できることを確認した.成果を電子情報通信学会通信ソサイエティ大会へ発表し、論文誌Bへ投稿した。
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