研究概要 |
近年,誤り訂正符号の分野で提案されたTurbo符号,Turbo復号法はその誤り訂正能力の高さから21世紀の高信頼度情報通信,蓄積技術の重要な技術として注目を集めている.このTurbo復号を含む反復復号アルゴリズムは,知識情報処理の分野で不確実推論アルゴリズムとして用いられている確信度伝搬(BP:Belief Propagation)アルゴリズムの応用例として解釈されることが明らかとなっており,Turbo復号はBPアルゴリズムと同等な方法で,事後確率計算を近似的に効率よく行っていると解釈される.平成12-14年度科学研究費補助金の助成による「不確実推論を用いた高信頼度反復復号アルゴリズムの設計と解析」の研究成果として得られた拡張ジャンクショングラフ(EJG)と並列反復事後確率計算アルゴリズムは,従来の確率伝播アルゴリズムと比べ一般的な確率モデル(符号)を扱えると共にループのあるグラフ(ほとんどの実用的符号はループがある)においても性能の劣化が少ないことが確認された.そのためこのグラフとアルゴリズムは実用的な符号に対し優れた性能が期待され,本研究では様々な符号や通信路に対し応用を試みその性能を実験的及び解析的に検討を行うことであった. 今年度においては,ARQ方式などの帰還通信路を持つ通信路モデルにおける確率伝播アルゴリズムの応用と性能評価を行った.また,前年度に引き続き,EJGと並列反復事後確率計算アルゴリズムをスモールループを含むLDPC符号に適用した際のアルゴリズムの効率化および性能解析を行った.また,他の分野への応用として,ストリーム暗号の解読アルゴリズムへの適用および性能解析を行った.
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