研究概要 |
近年,優先制御を用いて複数クラスの品質を提供する差別化サービスが新たなサービスとして検討されている.品質に差がある場合は,当然料金に差を付けなければならない.本検討では,最低保証帯域幅と支払い意思額の関係を求めた. 想定する差別化サービスは,月額定額制の基本料金でベストエフォートサービスが提供され,月額定額制の追加料金を払うことにより最低帯域保証サービスを受けられるものとした.今回想定するサービスは最大20Mbps,最低帯域保証サービスは1,2,5,10,20Mbpsの5種類とした.支払い意思額は,その定額制月額の基本料金と追加料金に関して求めた.主観評価実験では,ストリーミングとダウンロードの二つのアプリケーションの利用を想定し、それぞれの品質を提示したときの支払い意思額と両方の品質を提示したときの支払い意思額を調査した. 主観評価実験の結果から、基本料金と追加料金の合計を基本料金で正規化した値のMOS値(Mean Opinion Score)と最低保証帯域幅の関係を求めた.ストリーミングの品質を提示した場合,支払い意思額は対数近似することができ,ダウンロードの品質を提示した場合と両方の品質を提示した場合,支払い意思額は累乗近似することができた. ダウンロード品質に対する支払い意思額とストリーミング品質に対する意思額の増加率を比較すると,ダウンロードの意思額の方が大きいことが分かった.また,保証される帯域幅が大きくなり10Mbpsを超えると,ダウンロードの品質のみを提示したときの支払い意思額と両方の品質を提示したときの支払い意思額が近づいていくことが分かった。帯域幅の大きな範囲では,総合評価の値はダウンロードの品質に影響を受けると考えられる.
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