研究概要 |
本年度は,フィルタバンクの枠組みを画像以外の一般的な信号に拡張するために,短時間フーリエ変換の最適逆変換を求めるための理論を構築した.これはフィルタバンクの問題に還元することで,すべて解決できることを示した.以下に概要を示す. 離散信号x[n]に対する短時間(窓)フーリエ変換(以下WDFTと記す)は次のように表される: X[m,ω_i]=Σ_{n=0}^{N-1}S[n]x[Mm+n]e^{-jω_in}, ここで,ω_i=2πi/N,i=0,【triple bond】,N-1,j=√<-1>であり,s[n]は窓関数である. 逆変換は,フーリエ基底関数の重ね合わせとして得ることができる: x[Mm+n]=1/KNΣ_{i=0}^{N-1}Σ_{k=0}^{K-1}1/S[i]X[m+k,ω_i]e^{jω_in}, ここで,K=N/Mであり,Kは自然数であると仮定する.もしWDFTを重ね合わせ部分を持ちながらシフトさせて適用する場合,結果的にWDFTは冗長性がある変換となる.したがって,一般的に無限個の逆変換が存在するはずであるが,慣用的に上の式で表される逆変換の公式を用いているのが現状である. 本年度は,K=2,つまり重なりが50%の場合には,最適な逆変換を簡単な行列演算の形で特定できることをを明らかにした.これを導くにあたって導入する最適性は,WDFTに雑音が加えられた場合の平均2乗誤差,および窓関数をフィルタと見なした場合の阻止域ゲインによって規定される.基本的な考え方は,完全再構成冗長フィルタバンクを拡張したものとなっている. このほか,昨年度構築した時変フィルタバンクを用いて画像の雑音除去を行った.これは,国際会議で発表しプロシーディクグスに収録された.
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