研究概要 |
平成17年度は,我々の開発した微視的道路交通シミュレータMITRAMに新たに以下に示す機能を加え,それらを用いて道路交通と環境との関わり等の研究を行った. 1.実際の市街地で一般に交通量データとして得られるのは交差点等に設置された感知器によるものである.これらの感知器データをMITRAMへそのまま取り込みシミュレーションが行えるようにするため,交差点ネットワークモデルを構築した.MITRAMへこのモデルを導入し,高知市市街地の広域にわたるシミュレーションを行い,精度のよい交通現象の再現が可能なことを確認した. 2.MITRAMへ実際の信号制御機を複数接続できるようにし,高知市市街地の実データに基づくシミュレーションを行い,種々の信号制御アルゴリズムの評価を行った.このシステムによって検証された信号制御アルゴリズムは,そのままの形で実際の信号機に搭載でき,信号制御アルゴリズムの設計に極めて有効である. 3.MITRAMの各車両に,道路状況に応じて経路選択を行う機能をもたせ,道路情報の有無による経路毎の混雑具合を調べた.この機能により,道路情報の渋滞回避の効果や渋滞の伝播の解析等を行えるようにした. 4.MITRAMによる各車両の走行データから二酸化炭素(CO_2),および窒素酸化物(NOx)の排出量を推定する機能をもたせ,調布市市街地における道路交通シミュレーションにより市街地各地でのそれぞれの排出量を算出した.この機能により,電気自動車やハイブリッド車の効果やアイドリングストップの削減効果,また信号制御と排出量の関係の解析等が可能となった. 5.踏切の信号化の効果を,国道15号線(第一京浜国道)と京浜急行の踏切(大田区蒲田)を対象にMITRAMによってシミュレーション調査を行った. 以上の成果の一部を既に論文発表し,また残りの成果についても今後学会発表をする予定である.
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