研究概要 |
人間と計算機あるいは計算機相互の効果的なインタラクションの場としての情報場の枠組みについての検討とともに,創発的方法論の核となる計算アルゴリズムについての基礎的な検討を行った.特に,本年度は,(1)双方向インタラクションを実現する情報場の構成および(2)双方向インタラクションを利用した創発的計算モデルの構築をテーマとして研究を進めた. まず,(1)について,ヒューマン・インタフェースやインタフェース・エージェントに関する資料収集・調査研究を行い,情報場の概念設計ならびに情報場を中心とした問題解決の枠組み構築を図った.この枠組みのもとで,従来より進めている自律分散型階層モデルを位置付けるとともに,生産システムにおける計画問題・スケジューリング問題に対するリアクティブな意思決定モデル等を中心に,情報場の概念の具現化を進めているところである. (2)については,情報場におけるインタラクションを通して解くべき問題(システム環境のモデル,意思決定者の選好などを含めた最適化モデル)を適応的・対話的に引き出すための枠組み,ならびに意思決定者の選好等をシステム情報あるいは知能情報として記述し,これを計算機上での問題解決モデル(最適化モデル)に利用・反映するための枠組みの検討・具体化を進めているところである.このテーマに関しては,例題として道路交通シミュレーションを取り上げ,運転者と車両,道路をそれぞれ個別にモデル化した上で,これらのサブモデル間でのインタラクションを陽に考慮したシミュレーション・モデルおよび意思決定モデルを構築した.今後,問題解決といった視点から方法論の開発を進めるとともに,エレベータ群管理システムなどへの適用を通して,有効性・有用性の検証を進めていく予定である.
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