研究課題
(1)ニワトリ雛における体温調節性心拍数調節の発達:0日令から7日令までのニワトリ雛において、35℃→25℃→35℃の順で各1時間環境温度を変え、直腸温と瞬時心拍数を74個体について測定した。心拍数ベースラインは、環境温度の変化に平行する応答(thermo-conformity response)から変化に逆らう応答(thermoregulatory response)へ、0日令後半から1日令にかけて移行し、今後の研究に対して示唆に富む新たな結果を得た。(2)エミュー胚と雛における体温調節性代謝応答:体表面積/体積比の小さい大型走鳥類では、産熱量に対する熱損失が小さいため体温調節能はニワトリよりも発達していると仮定して、嘴打ち前の胚(pre-IP)、内嘴打ち胚(IP)、外嘴打ち胚(EP)、雛について、環境温度10℃の変化に対する酸素摂取量の応答を測定した。EP胚では既に、ニワトリの1日令以後の雛に見られるthermoregulatory responseが現れ、pre-IP胚とIP胚の酸素摂取量は変化しない結果を得た。pre-IP胚とIP胚において、10℃の環境温度変化に対して酸素摂取量が一定に保たれたことは、この時期にすでに体温調節能が発現していることを窺わせる。更にこの微弱な体温調節性代謝応答は卵殻のガスコンダクタンスによって制限を受けている可能性が考えられ、今後の研究が期待される。(3)体温調節性心拍数調節に及ぼす飼育環境温度の影響評価:孵化直後のニワトリ雛を2群に分け、対照群は35℃で、実験群は室温(24-27℃)で飼育して、直腸温と瞬時心拍数を、35℃と25℃の環境で交互に測定した。実験群の雛の方が早い時期にthermo-conformity responseからthermoregulatory responseに移行を示す予備結果を得た。
すべて 2004
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