研究概要 |
1.偏波理論の確立:誰もが使えるように統一された理論を構築しておくことは非常に重要である.偏波の定義から始まって偏波レーダによって取得されるデータの処理方法までを詳しくまとめた. 2.散乱行列の検証実験 (1)X-バンド偏波干渉レーダの作成:既存の電波暗室内で,X-Yポジショナーと4偏波アンテナを組み合わせ,干渉SARデータが取得できるようにレーダシステムを構成した. (2)理論通りの散乱行列が得られるかどうかを実験室内で検証した. 3.ターゲット分類手法の開発 (1)散乱行列からターゲット情報抽出パラメータの選定:偏波による最も良い分類指標はについて2次統計量の3成分分解や固有値,相関係数,偏波基底による違いなどを調べ,電波の入射角やターゲットの向きに依らない2次統計量を中心に分類手法を検討した. (2)4つの散乱モデルに基づく電力分解方法を考案:Covariance行列の要素に着目し,理論的に展開すると,円偏波成分の項目が出現することが分かった.表面散乱,体積散乱,2回反射散乱にこの円偏波発生成分を加え,4つの散乱モデルに基づく電力分解方法を考案した.4つの電力成分で地上のターゲットを分類すると,理論的にも実際の散乱メカニズムとよく対応することを見い出した. (3)地表分類画像の有効性の確認(グランドトルース):実際の航空機搭載偏波合成開口レーダシステムPi-SARで取得した新潟市や新潟大学近くのデータで比較を行った.NICT,JAXAの協力を得て,平成16年度中に3回の飛行実験を繰り返し,データの提供を得た.その結果,ほぼ想定される散乱メカニズムと一致した結果が得られた.それをもとに数多くの学会発表を行った.さらに,中越地震による山古志村全体のSAR画像も取得したので,今後は,本研究の成果をふまえ,現地調査を検討している.
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