研究概要 |
半導体材料としてシリコンウエハを取り上げて研究を進めた.研究実績項目を以下に列記する. 1.シリコン半導体ウエハに酸化被膜(SiO_2)が成長するときの放射率挙動モデリングを開発した.これを用いて放射測温法を実現するヒントを得る段階に達した. 2.双方向角度を自由に制御できる反射率測定装置を試作した.これにより,シリコン半導体ウエハのエピタキシャル成長膜,酸化膜,フォトレジスト膜などの存在する条件下での偏光方向反射特性,特にBrewster角に着目した測定システムを実現できる見通しを得た.この装置による反射率情報と別途測定する放射率,透過率情報の関係からin-situ温度計測法開発を促進させる. 3.シリコン半導体ウエハの偏光透過率温度特性を実測する装置を試作した.シリコンウエハのバンドギャップに対応する限界波長付近での透過率温度特性が定量的に計測できるようになった.この情報も2と関連させて新しい温度計測法の開発へのヒントとなる. 4.本年度の中心課題であるハイブリッド表面温度計の昇降制御機構が完成し,実験を開始した.接触部の構造が測温精度に大きく影響することが分かり,種々のアイデアが得られた. 5.常温から高温までのシリコン半導体ウエハの偏光放射率,透過率特性データを得つつある.今後ともデータの蓄積を進めるが,これらデータから2,3の項目と関連させてin-situ温度計測法を開発する準備ができた. 以上の研究成果に関連して,国内外の学術誌に2件の論文を投稿し,1件(Applied Optics)は掲載され,他の1件(計測自動制御学会論文集)は採録され,現在印刷中である.また,国際会議で2件(1件は招待講演),国内学会で7件の発表を行った.3のハイブリッド表面温度計に関しては,特許申請準備中である.
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