平成16年度の研究実績項目を以下に列記する。 1.ハイブリッド型表面温度計の試作機が前年度に完成したが、大気中において最適な条件(材料、寸法の選定)下における実験により700Kにおいて系統誤差5K、偶然誤差±1Kの精度の測定が可能となった。 2.上記ハイブリッド型表面温度計をファイバロッドと組み合わせ、局所的な測温(測定面積1mmφ)ができるハイブリッド型表面温度センサを開発した。さらに、本センサをシリコンウエハの真空加熱装置内に導入する機構を開発し、真空内で測定実験できるようになった。 3.双方向角度を自由に制御できる反射率測定装置を前年度に試作したが、これを用いてシリコン半導体ウエハに酸化膜が成長したときの反射率特性(分光(350〜1150nm)、偏光、方向特性)の実測を開始した。ブリュースタ角での特異な現象など多くの現象を観測できた。本装置は今後シリコンウエハを加熱し、高温状態で測定できる装置に改造し、より現実に近い状況での反射率挙動を測定できる装置とすることが課題となる。 4.シリコンウエハのp-偏光放射率が特定の角度で酸化膜に依存せず、ウエハの光学定数だけに依存する「放射率不変条件」をシミュレーションで得ていたが、高温における実験では、本条件はかならずしも成立しないことが明らかになった。今度、現象のメカニズムを追及していく必要がある。 5.シリコン半導体ウエハに酸化膜(SiO_2)が成長する際の放射率挙動モデリングを前年度に開発したが、これを用いてp-およびs-偏光放射輝度比と放射率の間に1対1の対応する条件があることを見出した。このモデルによる放射率補正放射測温法(放射率と温度を同時計測する手法)が非常に有望であることを実験によって確認した。今後、本手法のin-situ温度計測への応用が課題となる。 これらの研究に関連し、平成16年度に学術誌へ2件の研究論文が掲載され、内外学会での発表を7件行った。
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