研究概要 |
発電プラント、船舶、鉄鋼製造等の主要設備の心臓部に使用される大型鍛鋼品は、大型自由鍛造プレスを用い、最終機械加工寸法に所定の鍛造余肉を付加して成形される。鍛造成形時、鍛造品の寸法(軸の偏芯、曲がり、断面形状など)の確認方法は、接触式あるいは目視であり精度が悪く、このことが、鍛造余肉を減じ、機械加工寸法に近いNear-Net-Shape化を妨げる要因の一つとなる。 本研究の目的は,3次元画像計測技術を大型熱間鍛造に適用することにより、省資源・省エネおよび製造期間の大幅短縮が図れることである。 具体的な目標は,高温(1,000℃程度),大型(長さ10メートル程度,直径1-3メートル程度)加工物に対して、短時間で高精度(計測誤差数ミリ程度)の寸法計測を実現する。 一年間の研究で,下記のような成果が得られた. 1.鍛造工程中における鍛造物の角や面など不規則形状の計測精度に対する影響要因を究明した; 円柱状物体を鍛造し成型する方法は,四角柱より,八角柱,十六角柱,三十二角柱を経て,段々に円柱状に漸近する方法である.高温の原因で,今までのエッジ抽出方法では,面と角の検出は非常に困難なので,形状計測精度の確保ができなかった.本研究では,カラー画像と近赤外画像の利用により,鍛造物の角と面の検出はある程度実現し,計測精度を向上した. 2.計測精度に対する鍛造物の温度影響の削減が実現した; 高温状態の鍛造物の寸法が常温と異なり,その差が温度,材料及び形状に従って変化する.本研究では,計測された形状と局所的な温度変化により,寸法計測結果を補正し,計測精度を向上した. 3.大型鍛造物に対する複数台カメラによる計測システムの設計が完了し,現在実装中である; 4.技術論文は,既に数篇投稿したが,一篇投稿中である。
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