研究概要 |
不規則媒質を構成する粒状物質が誘電体球,磁性体球,キラル球である場合の実効的な電気的定数算定法について,まず理論的立場から解析を行い,数値計算により提案する方法の妥当性を検証し,実効的な電気的定数算定法に基づいて,いくつかのパラメータを変化させることにより,媒質中の実効的な電気的定数を視覚化するイメージング技術の開発を行うための準備を行った。具体的には,粒状物質(誘電体球and/orキラル球)からなる不規則媒質の実効的な電気的定数算定式の導出を行うために,(1)背景媒質(均質誘電体または自由空間)中に多数の粒状物質が不規則に分布する不規則媒質を媒質モデルとし,媒質中を伝搬する電磁波のベクトル波動方程式をMaxwellの方程式に基づいて定式化し(南部),(2)得られたベクトル波動方程式より積分方程式を導き,電磁波多重散乱解析法(本研究で提案する方法,及び,実効界近似:EFA)を用いて,電磁波のコヒーレント成分の解析を行い(南部・三橋),(3)その結果導出された媒質中の平均ダイアディック・グリーン関数より,粒状物質の種類(誘電体,キラル)ごとに不規則媒質の実効的な電気的定数の算定式を導出し(南部),(4)導出された不規則媒質の実効的な電気的定数の算定式から数値計算を行った(南部・高比良)。この内,不規則媒質の実効的な媒質定数である等価構成定数(等価誘電率,等価透磁率,等価キラリティ)については,詳細な数値計算を行い,論文として公開した。また,粒子の形状の影響を検討するために,2個の球体がペアになっている粒子構造が多数存在する空間をモデルとした解析にも着手し,本研究で提案する方法の結果と比較するための先行データを得るために,EFAによる解析と数値計算を行った(南部)。
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