研究概要 |
本年度は,前年度より継続して、不規則媒質を構成する粒状物質が誘電体球及び(又は)キラル球で、かつ、形状の複雑化に対する特性の変化の検証するために、球が対(ペア)で分布している場合の実効的な電気的定数(等価誘電率、等価透磁率、等価キラリティ)について,多重散乱解析法に基づく理論解析を行い,媒質のマクロ的な電気的定数の算定式の導出を行った。次に,媒質の電気的特性に影響を与える幾つかのパラメータ(球の電気的定数や体積占有率)を変化させることにより,媒質中の実効的な電気的定数を視覚化するイメージングの検討を行った。また,不規則媒質を構成する粒子のペアの各電気的定数が異なる場合についても実効的な電気的定数を算定し,粒子固有の電気的特性が不規則媒質の実効的な電気的定数に与える影響についても調査・研究を行った。具体的には,まず背景媒質(均質誘電体または自由空間)中に不規則に多数の粒状物質(球体)が2個ずつ対分布する媒質を媒質モデルとして、分布が極めて粗であるという仮定の基にEFA(フォルディ近似法)に基づいて導出された媒質中の実効的な電気的定数算定式の導出及びプログラミングを行い,また、背景媒質(均質誘電体または自由空間)中に不規則に多数の粒状物質(電気的定数の異なる球体)が2個ずつ対分布する媒質を媒質モデルとした場合について、同様に算定式の導出及びプログラミングを行い、動作を確認の後、数値計算及び結果のイメージングを行った。イメージングされた数値例の結果より、粒子の形状や電気的特性が媒質の特性全体に及ぼす影響が大きく、特性のイメージング化は、媒質中の電波伝搬の評価や高周波材料の開発に必要、かつ、有用であることがわかった。最終的に3年間の本研究により得られた研究成果をまとめ、研究成果報告書の作成を行った。
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