研究概要 |
論理制約とともに状態の不連続な変化やジャンプ現象といった切替による制約の2つの制約を伴うシステムに対し,昨年度は主に区分アフィン系としての表現方法を用いて解析を行ったが,本年度はさらにクラスを広げ,piecewise smooth dynamical system(区分的にスムースな系)に対する解析を行った.その結果,部分的な外部入力を的確に用いることで,制御可能であることを示した.またこれとは別に,従来のロバストモデル予測制御法の欠点を解消し,比較的高速に特性が変化しかつ現実的な各種の拘束条件を伴うような機械系に対してもこれを拡張し適用可能とするために,拘束条件付の有限時間minimax receding horizon制御法を開発した.この方法は,従来のロバストモデル予測制御法に比べ,ロバスト性能並びにロバスト安定性の保守性を減らすことが可能なものである.また,拘束条件に論理制約を伴う場合には,Mixed Logical Dynamical (MLD)システムによる表現方法を用いることで対応可能である.さらに,状態切替と論理制約を伴うシステムの別の例として,アナログ装置とデジタル装置が混在するシステムへの対応を検討するために,特に,入力信号が従来の連続信号だけではなくスプライン信号として表されるようなケースを想定し,これに対しDA変換のための標本化基底の導出を行った.この基底を用いることで,従来用いられている0次ホールドによるものより,よりいっそうきめ細やかな信号処理が可能となり,その結果状態切替を伴うシステムに対する制御性能を向上させることが期待できる.そして,これらの解析結果ならびに制御手法の具体的な適応対象として,昨年度から引き続きPID型3項制御器への応用を検討し,特にむだ時間を伴うシステムへの対応や多目的な仕様を満たすケースなどへの対応を検討し各種の知見を得た.
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