研究概要 |
本年度は,最終年度として,これまで開発,提案した手法を,より一般的で広いクラスのハイブリッドシステム,特に,拡張MLD(Mixed Logical Dynamical)システムの適用範囲の拡張を検討し,提案手法やアルゴリズムの拡張や改良を行った.特に,むだ時間を伴う各種のMLDシステムと,アナログ信号とディジタル信号の混在するサンプル値ハイブリッド制御システムの2つのシステムに対する適用性の解析と拡張を中心的に行った.前者に対しては,特に,ロバストモデル予測制御法を現在でもプロセス制御の現場ではよく用いられているPID型3項制御器として実現するために,ロバスト安定性やロバスト制御機能の限界ならびに,論理制約と状態切替制約の違いが与える領域分割数や分割方法の影響と,これらによるロバスト安定性/制御性能への影響といった理論解析ならびに,昨年提案した有限時間Minimax receding horizon制御方法の適用のための拡張を行い,有限時間の制約付きMinimax最適化問題に適した最適化手法として進化型プログラミングを応用したアルゴリズムの開発等を行った.これは,特に,状態空間の領域分割手法や分割数によって生じる,メモリ容量やオフラインでの計算時間などの数値計算に関する問題に対処し,高速でむだ時間と伴うような拡張MLDシステムのクラスにあまり依存しない汎用性の高い効果的な最適化手法とするためのものである.一方,後者に対して,状態切替と論理制約を伴うサンプル値制御システムに対し,きめ細やかな信号処理を実現することで,制御性能を向上させる適応型DA変換機とExplicitモデル予測制御コントローラの組み合わせによる統合型制御方式の設計アルゴリズムのプロトタイプ開発を行い,シミュレーションによりその有効性を確認した.
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