研究課題/領域番号 |
15560378
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研究機関 | 奈良先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
山下 裕 奈良先端科学技術大学院大学, 情報科学研究科, 助教授 (90210426)
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研究分担者 |
中村 文一 奈良先端科学技術大学院大学, 情報科学研究科, 助手 (70362837)
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キーワード | 不連続フィードバック / 非線形制御 / 連続時間有限整定制御 / 非ホロノミック系の制御 / 高次chained system / 同次システム / リアプノフの逆定理 / 厳密微分器 |
研究概要 |
今年度は、不連続フィードバックによる制御の基礎的事柄をいくつか明らかにした。 まず、いくつか与えられていた不連続系に対するリアプノフの逆定理を整理し、シンプルな表現を与えた。それを漸近安定で不連続な同次系に対して用いた場合、同次なリアプノフ関数が得られることを明らかにした。また、同次リアプノフ関数の時間微分を計算することにより、不連続同次系においても同次次数によって収束速度が決定されることを示した。つまり、同次次数が負であれば有限整定し、0であれば同次ノルムの意味で指数安定であり、正であれば任意の初期値からある決められた時間以内に原点近傍に収束する。 以上の結果を用い、同次なリアプノフ関数を考えることで、低次の場合だけであるが、Lavantの厳密微分器が安定となる十分条件を導いた。また、高次スライディング制御系が有限整定することは経験的に知られていたが、厳密な理論に基づいてその有限整定性を証明した。 次に、代表的な非ホロノミック拘束を持つ系であるchained systemに対し、その部分システムに同次有限整定制御を用いることで、時不変不連続な有限整定制御則を導いた。切り替え則として同次な収束時間保証関数を用いているため制御系全体も同次系となり、数学的にも扱いやすい結果が得られた。実用的にも、局所有界な時不変入力で指数安定以上な制御系になっており、これまでにない優れた結果が得られている。チャタリングを防ぐために入力に同次ノルムを掛ける方法も提案した。また、この制御則を、最終的な滑り面に有限整定させるように考えることで、高次chained systemへ適用するように拡張した。さらに同様な考え方により、局所的な座標変換を経ることなしに大域的な車両系の車庫入れ制御則を導くことに成功した。
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