研究課題/領域番号 |
15560379
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研究機関 | 奈良先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
杉本 謙二 奈良先端科学技術大学院大学, 情報科学研究科, 教授 (20179154)
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研究分担者 |
安達 直世 奈良先端科学技術大学院大学, 情報科学研究科, 助手 (10335490)
佐藤 淳 奈良先端科学技術大学院大学, 情報科学研究科, 助手 (60324969)
笠原 正治 奈良先端科学技術大学院大学, 情報科学研究科, 助教授 (20263139)
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キーワード | 独立成分分析 / システム同定 / 振動検出 / 未知入力 / 機械振動 |
研究概要 |
本研究では、多変量解析の新しい手法である独立成分分析(ICA)を、制御系の解析や設計に導入することを目標としている。制御で扱うのは一般に動的システムであるが、特に多変数ARモデルに限定すれば、離散時間信号を時系列ベクトルに展開することによって入出力関係を代数方程式で取り扱えるのでICAが適用できる、というのが本研究の基本構想である。本年度はまず、この基本構想を未知入力システムの同定アルゴリズムとして実現し、その理論的な正当性をKL情報量の概念に基づいて証明した。また、幾つかの数値例についてシミュレーションを行い、有効性を確認した。以上の成果については学術雑誌に投稿中である。 次に、この手法を機械システムに適用し、実世界での性能を評価する段階に入った。まず、2つのバネと梁から成る簡易モデルを作成し、予備的な実験を行った。さらに、これを拡張して数本の細いパイプから成る柔軟構造物に加振器を取り付け、振動をモニタする変位センサと信号処理系を接続した実験システムを構築した。これは生産現場における機械を模擬しており、動特性と振動外乱がともに未知であるとして、これらの同時推定を行う。この構造体に異状(故障)が生じたときに、センサ出力信号のみをICAで処理することにより、この異状を検出することが目的である。 これらの装置の準備と並行して、想定するシステムを2次元機構シミュレータによって模擬してICAの数値実験を繰り返し、今後の実験においてどのような条件を設定すべきかについて調査を行った。その結果、想定している実験システムの構造(パイプの長さや強度、加振器の周波数や振幅、パワーなど)に関しての予想を立てることができた。現在、実験システム構築の最終段階に入っている。
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