出力フィードバック形式多変数非線形適応制御系設計に関する研究

2003 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 15560382
• 研究機関: 熊本大学
• 研究代表者: 水本 郁朗 熊本大学, 工学部, 助教授 (30239256)
• 研究分担者: 公文 誠 熊本大学, 工学部, 助手 (70332864) ; 石飛 光章 熊本大学, 工学部, 教授 (40159752) ; 岩井 善太 熊本大学, 工学部, 教授 (40026109)
• キーワード: 適応制御 / ロバスト適応制御 / 非線形系 / バックステッピング / 並列フィードフォワード補償 / 多変数制御

研究概要

非線形システムに対する適応制御系の多くは,基本的には状態フィードバックを基にしたものであり,状態が検出できない場合には,非線形オブザーバにより状態を推定する機構を持った非常に複雑な構造を持ったものであった.本研究の目的は,不確かな多変数非線形系に対するロバスト適応制御系を構造簡素な出力フィードバックを用いて実現するための総合的な設計法を確立することであり,本年度は,非線形システムのフィードバック受動性に基づくオブザーバを用いない適応出力フィードバック制御系設計法に関して,並列フィードフォワード補償を併用した設計法およびバックステッピングに基づく設計法の両面から検討し,多変数非線形系に対するロバスト適応制御系設計法に関する基礎的研究を行った.具体的には,1)出力フィードバックに基づく多変数非線形ロバスト適応制御計設計法に関する理論的検討,2)非線形並列フィードフォワード補償器(PFC)を併用した設計法に関する基礎研究および3)離散時間非線形システムに対する出力フィードバック形式適応制御系設計法に関する検討を行った.1)のロバスト適応制御系設計や2)の非線形並列フィードフォワード補償器(PFC)を併用した設計法では,これまでにない新しい制御系設計法の提案を行い数値シミュレーションにより有効性の検証も行った.
なお,上記の成果の一部は,いくつかの論文誌に掲載され,また,国際会議ですでに発表または発表予定である.

研究成果

• [文献書誌] Ryuji Michino, Ikuro Mizumoto, Zenta Iwai, Makoto Kumon: "Robust High Gain Adaptive Output Feedback Control for Nonlinear Systems with Uncertain Nonlinearities in Control Input Term"International Journal of Control, Automation and Systems. 1・1. 19-27 (2003)
• [文献書誌] R.B.Gopaluni, I.Mizumoto, S.L.Shah: "A Robust Nonlinear Adaptive Backstepping Controller for a CSTR"Industrial and Engineering Chemistry Research. 42・20. 4628-4644 (2003)
• [文献書誌] 水本郁朗, 道野隆二, 岩井善太, R.B.Gopaluni, S.L.Shah: "ハイゲインフィードバックに基づくロバスト適応バックステッピング制御とそのCSTR制御への応用"日本機械学会論文集(C編). 69・686. 143-150 (2003)
• [文献書誌] R.Michino, I.Mizumoto, Y.Tao, Z.Iwai, M.Kumon: "Robust Adaptive Output Feedback Control for Nonlinear Systems with Higher Order Relative Degree"Proc.of ICCAS 2003. 78-83 (2003)
• [文献書誌] Ikuro Mizumoto, Ryuji Michino, Yuichi Tao, Zenta Iwai: "Robust Adaptive Tracking Control for Time-varying Nonlinear Systems with Higher Order Relative Degree"Proc.of the 42th IEEE Conference on Decision and Control. 4303-4308 (2003)
• [文献書誌] M.Kumon, T.Sugawara, K.Miike, I.Mizumoto, Z.Iwai: "Adaptive Audio Servo for Multirate Robot Systems"Proc.of 2003 IEEE/RSJ International Symposium on Intelligent Robots and Systems. 182-187 (2003)