研究概要 |
今年度は,まず振動型のニューラルネットワークに(1)与えられた安定なリミットサイクルをどのようにして構成するか (2)構成されたリミットサイクルの安定領域とロバスト性をどのように調整するかという問題について,研究してきた. 振動型のニューラルネットワークのリミットサイクルを脳の知的活動を表現する数学モデルとするとき,上記の(1)と(2)の課題を理論的に深く研究することが非常に重要であり,最近Martin教授等は、van der Pol oscillatorを用いたニューラルネットワークのリミットサイクルの解析によって,哺乳動物の24時間の周期的リズムを非常によく説明できることが分かっている.また脳に記憶される情報は安定なリミットサイクルとして蓄積されると考えられることも広く認識されているので,このような立場から基礎的な検討を行ってきた. まず,上の(1)と(2)を解明するために,まず離散型ニューラルネットワークを用いた場合について研究を進めた.すでに離散型ニューラルネットワークの場合に対しては,いくつかの成果が得られており,さらに近隣対称結合の振動型ニューラルネットワークに拡張することが出来ないかについてTexas Tech UniversityのDayawansa等と共同研究を開始した. また,脳の知的活動の重要な機能の1つは記憶・連想記憶(記憶情報の読み出し)に対しても,離散型の動的ニューラルネットワークを用いた記憶・連想記憶の構成方法について,いくつかの重要な成果を得ているので,これらの振動型ニューラルネットワークへの拡張についても検討を開始した.これについても,振動型ニューラルネットワークへ拡張することが,可能であるという結論に達している.
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