研究概要 |
社会循環システムの確立において,ダイオイキシン発生のない1600℃程度の高温での処理が可能で,しかも有効に,大量に利用できる建設材料を製造可能なセメントプラントの重要性が指摘されている.廃棄物はAl_2O_3がセメントの組成に比べて高いので,廃棄物処理量の増大のためには間隙相量を増加しなければならない.しかし,間隙相量の増加は,セメントコンクリートの流動性や水和収縮あるいは組織形成において問題となる可能性が高い.従って,廃棄物処理量の増大が可能で,流動性や水和収縮あるいは組織形成において,普通ポルトランドセメントと同等になるセメントの材料設計手法を確立し,その組成を明きらかにすることを目的とし,セメントの性能と廃棄物処理量を予測するための材料設計手法の検討や基礎的データの収集を行った. 線形計画法と相組成モデルの組み合わせによる材料設計手法を提案し,強度と水和熱の観点から,廃棄物処理量が増加でき,性能を確保できるセメント組成範囲を提案した.また,C_3A量の増加は,高性能(AE)減水剤の吸着量を増加させるが,ポリカルボン酸系と総称される櫛形高分子が有効であることを明らかにした.セメントの流動性制御の観点からは,間隙相量の組成の最適化すなわちC_3A量がどの程度まで増加させることができるかを検討した.その結果,間隙相量を現状の普通ポルトランドセメントの18%から24%まで増加させても,C_3A量を一定とすることで,減水剤や高性能(AE)減水剤の影響はほとんど影響を受けないことを明らかにした.しかし,間隙相量の増加により自己収縮は大きくなるので,水セメント比が小さな高強度コンクリートへ適用する際には,留意が必要であることを明らかにした.
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