研究概要 |
本年度は,全連続式ストーカ炉(焼却温度:800℃以上,焼却能力:810〜1.500トン/日)で焼却された都市ごみ焼却灰を採取し,それを湿式物理選別処理によって分級を行うとともに,埋立後5年経過した地表面付近の焼却残渣および清掃工場からの焼却残査の塩素化合形態の変化について検討を行った。 原料となる焼却灰は鉄,非鉄金属,未燃物,粒径80mm以上の粗粒焼却灰および粒径13mm以下の細粒焼却灰に選別した。都市ごみ焼却灰を湿式物理選別処理を施した後,リン酸系重金属固定剤により重金属固定化処理した細粒焼却灰を実験に供した。細粒焼却灰を5mmふるいで篩うと,粒径5mm以上が約4割,粒径5mm以下が約6割であった。また,粒径5mm以下に篩った細粒焼却灰は,コンクリート標準示方書に規定された細骨材の粒度範囲を若干はずれるものの,概ね近い粒度分布を示した。細粒焼却灰の化学組成および環境庁告示46号法に準じて行った重金属溶出試験結果では,細粒焼却灰の主成分はカルシウムと酸不溶解分であり,無機物を多く含む土壌に近い化学組成を示した。また,細粒焼却灰の重金属溶出量は,重金属固定化処理しているため,すべての重金属において土壌環境基準の基準値を満足した。 焼却残渣の塩素化合形態の結果では,埋立処分された焼却残渣は,埋立深さによって塩素化合形態が異なることや,地表面では不溶性塩分の含有量が少なくなるなどの知見が得られた。また,清掃工場からの焼却灰には,X線回折により,フリーデル氏塩の存在が確認された。
|