研究概要 |
一般廃棄物を焼却処理に伴い発生する焼却灰は,年々増加傾向にあり,焼却灰中には重金属が含まれているため,処理・処分に規制がかけられている。その処理技術として我が国では特に溶融法が適用されており,エコセメント,溶融スラグ等の有効利用が推進されているが利用用途は限られているのが現状である。また,廃棄物の埋立処分に対する環境保全の面から埋立地の建設や確保が非常に困難な状況になっている。このため,埋立地の延命化対策と廃棄物の有効利用の観点から,埋立廃棄物の中で大きな割合を占めている焼却灰の再利用化を図る必要がある。 そこで本年度では,米国のACI229委員会で「材齢28日の圧縮強度が8.3N/mm2以下になるように制御されたセメント系スラリー材料」と定義されている埋戻し材である制御型低強度材料(CLSM)に着目した。この材料の主な特徴は流動性および自己充てん性を有しており打設が容易で施工の省力化が可能である。また,自己硬化性を持ち,施工後の沈下が少ない等が挙げられる。この材料の特性を生かし,焼却灰の有効利用を目的とし,制御型低強度材料として焼却灰を利用し,石炭灰を代替材として用いた場合のフレッシュ性状および圧縮強度などの基礎的性状について検討した。 その結果,高炉スラグ微粉末の置換率90%,石炭灰を焼却灰の容積に対して50%置換することで,流動性,圧縮強度を満足することができ,埋め戻し材料としての利用の可能性を明らかにした。
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