研究概要 |
環境問題の意識の高まりから,最近ではゴミの分別回収や再資源化が行われているが,それでも今後のゴミ発生量の増加,埋立地の用地確保難,環境汚染等から今後埋立処分のみでは対応できなくなることが予想される。そのため焼却残渣の再資源化技術の開発が強く望まれている。 都市ごみ焼却灰をコンクリート用細骨材として有効利用するためには、物理化学的性状を把握する必要がある。都市ごみ焼却灰は、金属片やガラス片等の不純物等を含むとともに高含水率であることから、一般的なコンクリート用細骨材の密度および吸水率試験方法であるフローコーン法(JIS A 1109)では表乾状態の判定が難しい。表乾状態の判定は、配合設計において重要な要素である。そこで、土木学会「電気抵抗法によるコンクリート用スラグ細骨材の密度および吸水率試験方法(案)」(以下、電気抵抗法とする)を適用し、表乾状態の判定を行った。 その結果、焼却灰および脱塩焼却灰の表乾密度は、海砂と比較して小さく、また、吸水率は高い値を示し、コンクリート標準示方書に記載されている規定値を満足しなかった。焼却灰の粒度分布の測定結果では、海砂と比較すると粗い分布を示し、粒径0.3mm以下の細粒分が少ない結果となった。また、水洗処理による大幅な粒度分布の違いは見られないものの、微粒分の流出で若干粗の粒度分布となった。焼却灰中の塩化物イオン含有量は、脱塩前が0.54%、脱塩後がO.23%となり脱塩の有無にかかわらず、コンクリート標準示方書に記載されている海砂の塩化物イオン規定値(0.02%以下)を満足しなかった。ただし、塩分の溶脱効果としては約57%もあり、水洗処理することで50%以上の塩分を溶脱した。
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