現在、スパン30〜60m領域において、最も経済的な形式として連続鋼・コンクリート合成2主1桁橋の建設が盛んになっている。連続合成桁では、中間支点上で負曲げモーメントが生じ、コンクリートに引張力が導入され、その耐久性低下に大きな影響を及ぼすひび割れ発生の原因となる。したがって、連続合成桁では、コンクリートのひび割れに対する適切な設計が重要となる。対策として、プレストレスを導入しひび割れの発生を防ぐ方法があるが、建設コストアップの要因となる。そこで、防水層の敷設を前提に、ひび割れ幅を許容値まで許す制御設計が主流になりつつあり、既に我が国でも2つの手法が提案されている。しかしながら、これらの方法はひび割れ状態が安定ひび割れ状態(新たなひび割れが発生しない程度に十分にひび割れが生じている状態)にあることが前提となっている。 実際に建設されている上記橋梁を調査すると、スパン60mクラスにおいても、中間支点位置コンクリートのひび割れ状態は、設計最大曲げモーメント下においても、安定ひび割れ状態に移行する領域にあり、ほとんどが初期ひび割れ状態にある。つまり、これまで提案されている制御設計法は実体と異なる状態を対象しているという問題がある。 本研究の目的は、上記の矛盾を解消できる設計法を提案する点にある。本年度は、初期ひび割れ状態を考慮した新しい設計法の基本フレーム作成を行い、土木学会論文集で審査を受け、登載可となっている(2005年4月号に登載決定)。今後は、実験的研究を行い、この手法の妥当性の検証また精度アップを図る。
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