研究課題/領域番号 |
15560406
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
松島 学 国立大学法人香川大学, 工学部, 教授 (00130302)
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研究分担者 |
横田 優 四国総合研究所, 土木技術部, 主席研究員
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キーワード | 乾湿繰返試験 / ひび割れモード / 使用限界状態 / 理論モデル / 鉄筋腐食 / 鉄筋間隔 / かぶり / コンクリート |
研究概要 |
本研究の目的は、劣化を受けた既設コンクリート構造物のひび割れモードを考えることで、第三者障害を考慮した使用限界状態の予測モデルを開発することである。コンクリート構造物の劣化には、鉄筋腐食までの潜伏期、鉄筋腐食膨張によりひび割れが発生するまでの進展期、その後、腐食進展が加速する加速期がある。使用限界状態で問題となる時期は、ひび割れが発生する進展期であり、それもひび割れモードにより大きく異なる。ひびわれモードは、鉄筋径、間隔、かぶり、コンクリート強度により変化することが自明であり、たとえば、鉄筋間隔が狭い場合、鉄筋同士を結んだ水平ひび割れのはく離となるのに対し、間隔が大きい場合、鉄筋に沿ったひび割れとなる。鉄筋同士が間隔が大きい場合、かぶりによりひび割れモードは異なる。かぶりが小さい場合ははく離ひび割れとなり、大きい場合は鉄筋に沿ったひび割れとなる。 平成16年度は、ひび割れモードを調べるために試験体を作成し、乾湿繰返試験により腐食によるひび割れモードを調べた。試験体は、鉄筋間隔、かぶり、鉄筋径、コンクリート強度、鉄筋の位置を因子にひび割れモードを(1)鉄筋に沿ったひび割れ、(2)水平はく離ひび割れ(鉄筋同士を結んだひび割れ)、(3)はく離ひび割れの3種類を発生することを念頭に作成した。乾湿繰返試験は現在3ヶ月を経過しており、剥離ひび割れや鉄筋に沿ったひび割れが発生している。しかし、水平ひび割れはまだ発生していない。乾湿繰返試験と平行して理論モデルを構築した。理論モデルの計算からD/φ(D=2C+φ、C:かぶり、φ:鉄筋径)が1.5を超えると、鉄筋に沿ったひび割れが卓越し、それ以下では、剥離ひび割れが卓越することが明らかになった。さらに、乾湿繰返試験でもD/φ=1.5程度のときにどちらともいえないひび割れが発生し、理論モデルを裏づけできた。水平ひび割れでは、鉄筋間隔l_pに対するかぶりCの比l_p/Cが、5.0以下では水平ひび割れが卓越する計算結果となった。乾湿繰返試験では、その結果を裏付けることができた。さらに、限界となるひび割れ発生の腐食量を求めた。限界腐食量は、鉄筋に沿ったひび割れでは93mg/cm^3、はく離水平ひび割れでは68mg/cm^3となり、はく離水平ひび割れの限界腐食量の方が小さい。
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