研究概要 |
本年度は平成16年度以降に本格的に構築を行う構造-流体連成解析手法の基礎的な研究として,計算精度の向上に主眼を置き, 1.オイラー記述に基づく高精度で安定な構造解析手法の構築 2.オイラー記述に基づく高精度で安定な流体解析手法の構築 に関する研究を行い,以下の結論を得た. 1.オイラー記述に基づく高精度で安定な構造解析手法の構築 固相の境界の表現には,VOF(Volume of fluid)法を適用し,空間の離散化には任意形状の適合性の良い非構造子に基づく有限要素法を,時間方向の離散化には陽解法を用いてプログラム開発を行った.移流方程式の離散化には流体解析の分野で開発された,SUPG法に基づく風上化手法を適用した.その結果,従来の差分法に基づく風上化手法に比べて,固相の境界を鋭敏にかつ高精度に解析可能であることが実験結果およびラグランジュ記述に基づく計算結果との比較により明らかとなった.また,本手法は,ラグランジュ記述に基づく方法では解析が困難となるような大変形解析が可能であることが明らかとなった. 2.オイラー記述に基づく高精度で安定な流体解析手法の構築 気相と液相の界面の表現には,VOF法およびLevel Set法を適用し,空間の離散化には任意形状の適合性の良い非構造子に基づく有限要素法を,時間方向の離散化には陰解法を用いてプログラム開発を行った.なお.移流方程式の離散化には,3次補間に基づくCIVA法を適用した.本手法の有効性を,実験結果およびラグランジュ記述に基づく計算結果との比較のもとに検討した.その結果,本手法は,実験結果等と良い一致を示すとともに,砕波等を含む複雑な自由表面流れの解析が可能であることが明らかとなった.
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