本年度は、昨年度構築した構造-流体連成解析手法において、構造(固体)が剛体を仮定していたものを変形体(弾性体)に適用できるように拡張を行った。また、これまでの2次元プログラムの3次元化と並列計算手法の導入を行った。 本年度得られた結論は、以下のとおりである。 1.構造-流体連成解析手法における構造部の変形体への拡張 昨年度構築した構造-流体連成解析手法においては、構造(固体部)部は剛体を仮定していたが、本年度は変形体に適用できるようにプログラムの改良を行った。なお、本年度は、変形体は弾性体を仮定した。プログラムの妥当性を、既往の実験および計算結果との比較により検証し、定性的に良い一致が確認された。超弾性体や弾塑性体への拡張が今後の課題である。 2.構造-流体連成解析プログラムの3次元化と並列計算手法の導入 昨年度構築した構造-流体連成解析プログラムの3次元化を行った。なお、有限要素としては、任意形状への適合性に優れる4面体要素を用いた。3次元化に伴う計算時間および記憶容量の増大に対して対応するため、並列計算手法の導入を行った。なお、並列計算手法としては、領域分割法に基づく方法を採用し、プログラムの並列化にはMPI(Message Passing Interface)を用いた。構築された並列計算に基づく3次元プログラムを大規模な問題に適用した結果、高い並列化効率を示した。このことから、本システムにより、大規模で複雑な構造-流体連成解析を実用レベルで高速に行うことが可能となった。
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