研究課題/領域番号 |
15560414
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研究機関 | 広島工業大学 |
研究代表者 |
中山 隆弘 広島工業大学, 工学部, 教授 (90087974)
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研究分担者 |
川谷 允郎 神戸大学, 工学部, 教授 (00029357)
樫山 和男 中央大学, 理工学部, 教授 (10194721)
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キーワード | RC構造物 / 塩害 / 不確実性 / 構造信頼性評価 / ライフサイクルコスト / 期待ライフサイクルコスト / 信頼性指標 / 最適維持補修計画 |
研究概要 |
周知の通り、国および地方自治体におけるコスト縮減策のひとつに、安全性を保持しつつ維持管理費を抑えて構造物等の供用期間におけるライフサイクルコスト(LCC)を低減しようとする方策がある。そのため、わが国に限っても様々な考え方の下、いくつものLCC算定プログラムが開発されている。本研究でも同様の目的で、これまでプログラムの構築を図ってきた。 ただ、昨年度の実績報告書に記載した通り、塩害による材料劣化を考慮した鉄筋コンクリート構造部材(以下では単にRC部材と略記する)の期待ライフサイクルコスト(期待LCC:部材の破壊については、材料強度等に種々の不確実性が存在するため、LCCも期待値で評価せざるを得ない)を算定するための従来の解析プログラムでは、条件によっては解析が困難となるケースがあった。したがって、今年度はこれまでの解析プログラムを参考にして新たなプログラムを開発した。 開発には相当の時間が必要であったが、従来のプログラムの不充分な点については克服できたので、RC部材の補修の判断はひび割れ幅によって、補強の判断はISO2394(構造物の信頼性に関する一般原則)の精神に従って信頼性指標によって行うものとして、パラメトリックスタディを実施した。具体的には、構造物の置かれる環境条件(海岸からの距離)と、供用期間を100年としたときの定期点検間隔と詳細点検回数を変えて、新たな解析プログラムによって、それぞれの場合における期待LCCを算出した。 その結果、海岸からの距離がRC部材の期待LCCに及ぼす影響を定量的に把握でき、また、定期点検については、あくまで設定した条件の下ではあるが、毎年ではなく、数年に一度の点検が望ましいことを数値的に示すことができた。さらに、供用期間中における詳細点検の回数についても、予想通り、鉄筋の腐食速度に影響を受けることを明示できた。これらの結果は、実務における維持補修計画を立案する際に有効に活用できると考えている。
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