研究概要 |
本研究では,鋼・コンクリート複合構造物のために,高精度かつ効率的な構造解析法を開発することを目的としており,平成15年度には以下のハイアラーキ要素を開発した. 1.特異写像関数を用いたハイアラーキ特異要素 特異点近傍の応力集中問題に対して高精度かつ効率的に局所応力計算を計算するために,写像関数に特異多項式を用いた特異要素を開発した.この手法では,複数の特異点を有する多特異点要素を生成することは容易で,直線要素では特異写像のための写像点の座標値を入力する必要がない。また,1/4点写像の手法を曲線要素に用いると特異性が消滅するが,本手法では中間写像点を用いたハイアラーキ写像により特異曲線要素を生成することができる. 2.ハイアラーキRC要素 ハイアラーキRC要素はソリッド要素に鉄筋を埋め込んだ要素である.従来の要素を細分割する有限要素故において,ソリッド要素でモデル化した床版を鉄筋やPC鋼材の配置位置で分割した全体解析は不可能に近い.本研究のPC要素では鉄筋配置位置での要素分割が不要で,大型要素を用いても高精度の解が得られる.これにより鉄筋とPC鋼材の影響をも考慮した複合橋梁の全体解析が容易となる. 3.ハイアラーキ無限要素 構造物と地盤との達成問題において,無限に広がる領域を合理的にモデル化するためにハイアラーキ無限要素を開発した.ハイアラーキ無限要素は,写像関数に半無限関数を使用して,多方向に無限遠写像が可能な要素である.さらに,中間写像点を用いて任意の方向への曲線写像や,応力集中問題に対する特異写像も可能である.
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