研究概要 |
構造物の動的耐震信頼性設計法確立のための基礎資料を得ることを目標とし,本年は,地震波の持つ非定常性として位相特性を考慮し,位相特性が構造物の動的応答に与える影響を定量的に評価することを目標とした.来年度実施予定の弾塑性FEM地震応答解析の事前検討として質点系モデルに与える位相特性の影響を検討した. 鋼製橋脚およびRC橋脚を解析対象とし,1自由度の質点系モデルとして検討した結果,道路橋示方書に示されるレベル2タイプI相当の設計スペクトルを有する模擬地震波群を入力とした場合,同一の弾性スペクトルを有する地震波であるにも拘わらず,構造物の弾塑性動的応答は鋼製橋脚の場合15〜18%,RC橋脚の場合20〜24%程度変動することがわかった.また,これらの変動と構造物の固有周期とは明瞭な関係はみられなかった. つぎに,橋梁システム全体系による検討の予備検討として,地盤-基礎-鋼製橋脚からなるモデルを解析対象とし,構造物の弾塑性動的応答と地震動との相関性を検討した.その結果,構造物の固有周期に連動して速度応答スペクトルの積分範囲を変更する固有周期依存型スペクトルインテンシティ(SI)を,地震動指標とした場合,構造物の固有周期に拘わらず,弾塑性動的応答と安定して強い相関性を有することを確認した. さらに,落橋防止構造や桁間連結装置等を含めた橋梁システム全体系を解析対象とするため,落橋防止構造に用いられる緩衝材ゴムの力学特性を把握するため,桁間衝突実験を行った.本実験により,ゴム製緩衝材のヤング率と衝突速度をパラメータとした,衝撃力緩和およびエネルギー吸収率の評価式を導いた.
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