硬質ウレタンを鋼板に添加することにより、鋼板の振動減衰を高めることが出来るとともに、硬質ウレタンが音を吸収することから騒音低減効果が見込まれる。そのため、硬質ウレタンは騒音の吸収材として広く使用されている。しかし、硬質ウレタンの添加が振動に及ぼす影響に関するデータはこれまで見受けられなかった。 私たちは、平成14年度硬質ウレタンを充填した合成床版橋と通常の合成床版橋に対して振動実験を行い、合成床版橋の振動に及ぼす硬質ウレタンの影響を調べて、前者の減衰定数が50%以上大きくなることを確認した。 平成15年度は硬質ウレタンを添加した鋼板の振動性状を実験的に調べて、硬質ウレタンの制振作用を検証した。すなわち、試験体に衝撃力を与えて振動させる衝撃加振実験と、振動加振機上に試験体を設置して試験体の応答を調べる実験の2種類の振動実験により硬質ウレタンの効果を調べた。 衝撃加振による振動実験では、ゴルフボール、硬式テニスボール、ソフトボールの3種類を使用して自由落下により衝撃力を与えて加振した。ウレタン厚はゼロから150mmまで50mmピッチで全4種類としたが、この範囲では硬質ウレタン厚が大きいほうが減衰定数も大きくなり、最大60%以上大きくなるとの結果が得られた。 次に、振動台に試験体をセットして加振させた振動実験では、共振周波数を調べるとともに、騒音計を通して音の大きさを調べた。しかし、試験体を固定する治具が充分な剛性を有していなかったため、精度の良い実験とはならなかった。今年度、再度同じ実験を行い、硬質ウレタンの制振作用と騒音低減作用に関する基礎的な資料としてまとめて行きたい。
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