研究概要 |
送電線鉄塔基礎の引抜き時破壊メカニズムの解明を目的として、実務で採用されている逆T字型基礎などを対象に遠心載荷実験を実施した。このとき、地盤の傾斜角度としては、0,25,35度を用いた。(1)局所化領域の開始地京、(2)進展方向、(3)荷重-変位関係、(4)変形モードの遷移、(5)せん断帯の発生状況(角度や幅)、などに関するデータを取得した。傾斜地盤に関しては、設計において、鉄塔の根入れ深さを大きくすることを考慮した。この結果、地盤の傾斜角度25度のときに引揚げ荷重が最大であり、35度のときには大幅に低下することが明らかになった。 送電線鉄塔の逆T型基礎の引揚の三次元シミュレーションに用いる土の弾塑性有限変形解析プログラムの撃備を行った。特に、土の自重を考慮したことはシミュレーション結果の大きな改善につながった。また、実用解析に対応した各種解析条件の設定も行った。解析領域としては、対称性を考慮した半領域を設定した。節点数と要素数はそれぞれ3344と2690を用いた。水平地盤と傾斜地盤の変形の進行のシミュレーションを行った結果,水平地盤・傾斜地盤ともに、遠心載荷実験で見られるような、放物線状のせん断ひずみ集中領域を再現できた。また、傾斜地盤の傾斜角度の引き抜き強度への影響を調べた結果、水平地盤よりも引抜き荷重が大きいことが判明した。ただし、傾斜角度25度と35度との間には強度の差がないという、実験とは異なる傾向が出た。これは、実験では、塔が谷側に倒れ込んでしまうためと思われる。このことは、次年度の課題としたい。
|