研究概要 |
建設発生土や廃棄物をリサイクルする際の経済性を評価する場合,実際の建設にかかる費用と環境負荷に関する費用の両方を考慮することが必要である.そのため,建設材料コストに関するリサイクル経済評価モデルを提示し,このモデルを用いて材料コストについての将来予測を行うとともに,リサイクルの有無によって直接コストがどのような条件のもとで変化するのかを比較・検討した。さらに,各種リサイクル材に対して,材料作製に伴う二酸化炭素発生による環境負荷および廃棄物削減に伴うメリットをそれぞれコストとして算出し,環境負荷低減効果を表すための評価法について考察した。このような評価法に基づき,リサイクル材を用いる場合の環境負荷の低減効果を定量的に示した。 一方,木くずや間伐材等の廃木材はそのまま廃棄処分されることが多く,資源循環の観点から有効利用が望まれている材料である。これらの廃棄物の有効利用法の一つとして,炭化物としての活用が考えられる。また,軟弱な土にセメントなどの固化材を添加したセメント安定処理土については,環境基準を上回る量の六価クロムの溶出が懸念されている。炭化物については,このような有害物質の溶出を抑えるためにも有効であると考えられる。本研究では,木材の炭化物の吸水効果と有害物質の吸着効果に着目し,炭化物を混合したセメント安定処理土の一軸圧縮試験と溶出試験を行い,炭化物の混合量の違いによる強度特性と溶出特性の変化を明らかにするとともに,廃木材の炭化物の地盤材料として利用法について考察した。
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