岩石のクリープ破壊時間と疲労破壊時間を比較すると、荷重による力積はクリープ試験の方が大きいにもかかわらず、疲労破壊時間のほうが短いという結果が数多く報告されている。この原因として考えられることは、繰り返し荷重によるひずみ量の変化が、岩石の長期強度に何らかの影響を与えているということである。岩石の変形に伴って微弱な電流が発生すること、あるいは様々な周波数領域での電磁放射が認められることが、実験室レベルの研究においてわかってきている。また、クリープ変形は岩石内部に微小なクラックが発生し、それが進展することによって、破壊に至っていると言うこともクリープ試験におけるAE計測で研究代表者らが確認している。そこで、繰り返し荷重下における岩石内部に発生するAEおよび電位差を計測することによって、繰り返し荷重が岩石内部に与えるダメージを定量的に評価し、クリープ破壊時間を基にした疲労破壊時間の予測を行うことを目的とする。 大谷石を用いた繰り返し載荷試験を行った。載荷方法は5分間載荷、5分間除荷の繰り返しで行った。載荷荷重は一つの繰り返し試験では一定であるから、AIEは最初に多く出るが、その後、カイザー効果のため発生数は少なくなる。一方、電位差は徐々に載荷時の発生電位の大きさが少なくなる傾向はあるが、載荷毎にかなりの値の電位差が発生しており、繰り返し荷重が試料に影響を与えている。ことを証明しているものと考えられる。 また、破壊前には載荷時の発生電位差が増加に転じることから、破壊予測にも電位差の計測が用いることができる可能性が見られた。
|