| 研究概要 |
本研究では,流体中に含まれる固体物質(以下,粒子)の運動と輸送現象を高い精度で再現する数値解析手法を構築し,現象解明と工学的な評価に役立てる手法を得ることを目的としている.このため,本年度は粒子を含んだ非圧縮性流体から構成される場全体を連続体と考えて,これに対する数学モデルを導出した.この数学モデルをEuler格子を用いて離散化する場合の近似式と離散化式を求め,2次元場における基本的な数値解析手法を構築した.特に,離散化の際には、計算精度と質量および運動量の保存性に着目した高次精度のスキームを利用している。
本年度は,上記のような数値解析的な検討を進める一方で,解法の検証を行うたための基礎実験を実施した.粒子の初期移動過程を明らかにするための「2次元ダクト模型」と,大規模な自由水面の変形を伴う流れにおける粒子の輸送過程を把握するための「可変勾配水槽」を作成した.また,粒子移動と,粒子周辺に生ずる流体のフローパタンを計測するために,画像解析手法を構築した.
本年度は上記の基礎実験結果の一部を数値計算結果と比較することにより,解法の部分的な検証を行った.また,既往の流体力評価手法や固液混相流計算手法よりも本研究の手法が有効であり,現象評価がより適切に行えることを確認した。
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