研究課題
基盤研究(C)
半乾燥地域での地面蒸発-塩類集積の関係を明らかにするために2000年からの3年間、西オーストラリアBakers Hillにあるオーストラリア科学産業研究機構のYalanbee試験地の裸地で水文・気象観測が実施された。本研究では、そこで得られたデータの詳細な解析と蒸発やアルベドなどの実験を介して、蒸発-塩類集積の関係を中心に考究した。得られた結果は以下の通りである。1.現地の地面には夏季(乾季)、塩クラストが形成され、冬季(雨季)には降雨によってかなり湿潤となる。その際、アルベドは乾季の方が雨季に比し小さくなったが、この関係を、現地土壌によるアルベド実験では再現できず、この逆の関係の原因究明には至らなかった。2.アルベドは普通太陽高度と共に低下するが、乾季では、その最低値が正午ではなく9時〜10時に現れた。これは、早朝、凝結等によって若干湿潤した地面が蒸発で午前中に極度に乾燥化させられ結果であって、このアルベドへの影響が太陽高度に因るものより顕著となっていることが分かった。この移行過程は、ドーム式蒸発計による推定された水蒸気フラックスの変動特性に対応することが確認できた。3.乾季では日常的に水蒸気の凝結・蒸発の日周期的な生起が期待される。地中の水蒸気移動の基礎式を拡散方程式で表示した場合の凝結・蒸発現象を含んだ修正拡散係数の構造を明確にすると共に、カラム実験を介してこの係数の値は本来のものより約100倍大きくなることが分かった。4.当該土壌のカラム蒸発実験で、蒸発の伴って塩クラストが形成された。この形成過程は実験開始後約5日までに、表面を覆うクラストの面積率(全断面面積に対して)が60%まで直線的に増大し、その後の発達は緩慢となった。この間の蒸発強度はクラスト面積率に対し直線的に減少するが、この低減には水蒸気移動に及ぼすクラスト抵抗の増大の影響が顕著であると考えられた。
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土木学会年次学術講演会講演集 第59回(II)
ページ: 17-18
Proc. of Annual Meeting of JSCE (in Japanese) NO.59(II)