研究概要 |
1)交通状態のフィードバック推定 プローブカーデータと従来型地点感知器データを統合的に組み合わせて高速道路の交通密度や空間平均速度、および旅行時間の動的なオンライン推定を行う手法の開発を行った。先ず,高次項を有するマクロ交通流モデルをシステム方程式、車両感知器データとプローブ車データを観測方程式としたカルマンフィルタによる定式化を行った。突発的な渋滞時においても推定精度の向上に極めて有効であること、プローブ車の混入率が4〜5%あると推定精度が確保できること,10ないし30秒ごとのサンプリングが必要であることを明らかにしている。 2)OD交通量および交差点右左折率推定 感知器データから、確率的利用者均衡概念に基づく分布交通と配分交通の同時推定モデルと遺伝的アルゴリズム組み合わせて、リンク交通量データからOD交通量、経路交通量を逆推定し交差点の右左折率を求める手法の開発を行った。リンク交通量と交差点右左折率を実測した小、中規模道路網に加え車両感知器データを用いた大規模な道路網への適用も行いリンク交通量が精度良く計測されている中小規模の道路網での再現性の良さを確認するとともに、感知器数や配置、あるいは計測データの精度が推定結果に及ぼす影響に関して分析を行い、小規模な道路網の非渋滞状況の再現を行うには、約半数のリンクで誤差20%以下の計測データが利用できることを明らかにした。 3)車両感知器データに含まれる信号交差点の影響除去 街路の車両感知器で計測された交通変量に含まれる信号交差点による影響を除去し、本来の交通需要に即した交通変量を推定する手法を開発した。従来の衝撃波モデルとその非現実的な現象を修正したモデルによる手法を開発している。速度の補正を感知器データに加えプローブ車データを用いて行っている。提案されたモデルが交通量-速度関係式や旅行時間の補正にも有効であることも示している。
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