研究課題
道路利用者の主観からみた「混雑・渋滞」評価と客観的指標である走行速度との関連性を見いだす必要がある。本研究では、この目的のもと、独自に開発したプロトタイプの主観評価計測システムを利用して、渋滞の感じ方と実際の走行軌跡の対応付けを行った。主観評価計測システムは、(1)セイフティレコーダーと言われる速度・加速度・位置情報取得装置を走行車両に取り付け、自動車の軌跡を記憶する装置と、(2)走行中に簡易なボタン形式で現在の走行状態が渋滞・混雑・順調の3段階評価をon timeで記憶する装置から成る。また同時にその走行状態もビデオ映像として録画している。走行時には車両に乗車する被験者に渋滞の判定をしてもらい、また別途ビデオ映像を見ながら他の被験者にも同様の判定をしてもらうことが出来る。調査を行った結果、順調・非順調と、混雑・渋滞の2段階判定構造をもつオーダードロジットモデルの構築に成功している。このモデルの変数として、瞬間の走行速度のみならず、直前までの走行履歴との差異が判定に大きく影響していることが示された。また、渋滞判定については実走行実験と映像実験、被験者の居住地が影響を及ぼすと考えられたが、両実験や複数の地域居住者(東京・つくば・福島)に対する実験の結果からは、大きな差異が確認されず、本研究で提案するモデルが汎用性がある可能性が示すことが出来ている。次年度以降については、これらを反映し、より完成度の高いシミュレーター開発を行い、最終的にはプローブデータを用いた主観的混雑・渋滞時間の算出を行い、CS調査と主観的渋滞量との関連付けを行う。
すべて その他
すべて 文献書誌 (2件)