本研究は、消費者の日常行動に限定し、ゴミ問題をはじめとする地域環境問題を解決するための方策について調査・研究を行うことを目的としている。本年度の研究内容としては、(1)一般消費者を対象とした消費行動全般に関する行動意識と家庭ゴミ排出行動に関する実態調査の実施、(2)家庭ゴミの排出先であるゴミ集積場の利用実態と改善方策に関する実態調査(調査対象者は、前橋市の環境美化委員)である。 一般消費者を対象とした調査結果からは、家庭ゴミの排出量を削減するためにはゴミ収集の有料化や分別の強化だけでは限界があり、日常生活における消費行動全般を見直すことが必要であることを示した。そのためには、環境意識の高揚が不可欠であり、行政は適切な情報提供を行うことが必要である。なお、消費者の環境意識に関する分析手法としては、共分散構造分析を適用し、ゴミ問題に関する意識から、消費行動、環境情報収集、ゴミ排出行動、ゴミ削減意識に関する一連の構造を定量化した。 環境美化推進委員を対象としたゴミ集積場の管理状況については、概ね良好な状況にあるが、アパートや高層住宅における集積場の管理状況に問題があることが分かった。改善策としては、専用ゴミ集積場の設置と入居者に対する指導が不可欠である。また、集積場の形態としては、犬やカラス等によるゴミの散乱を防ぐためには、防ちょうネットなどの設置が必要である。
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