研究概要 |
従来の道路網計画は,平均的な交通需要およびサービス水準の期待値を前提としてなされてきた.しかし,交通需要も変動し,提供される交通サービスも速度規制や交通容量等が常に変動している.Just In Time生産や在庫を最小限にする流通経済が台頭して時間価値が増大し,人流・物流の両面において所要時間や連結性の信頼性への希求が高くなってきている.本研究では,このような需要サイドと供給サイドの変動を同時に考慮した信頼性解析モデルを構築し,悪天候予報下における種々の代替案比較や所要時間情報の提供に利用できる所要時間信頼性および連結信頼性に関する研究を行った.ここに,所要時間信頼度をOD間をt時間以内に旅行可能な確率と定義し,連結信頼性はあるサービス水準以上でOD間が連結されている確率と定義している.対象地域は,名古屋〜大阪間の高規格道路ネットワークで第2名神高速道路を含む. 構築したモデルのフレームワークは,入力情報が天気予報の地域分布,出力情報が高規格道路の経路別の所要時間信頼度および連結信頼度となるような確率構造をもつ信頼性解析モデルである. (1)膨大な天気データベースと交通規制データベースを作成し,その上に入力出力間を合理的に説明する信頼性解析モデルを構築した. (2)天気予報と実際の天気,また実際の天気と実施された交通規制との関係を統計的に分析し,気象条件を前提条件とする条件付き交通規制出現確率モデルを構築した. (3)信頼性解析モデルを所要時間の密度関数およびそれから誘導できる所要時間の確率分布関数によって構築した. (4)この2つの確率分布の積を用いることによって,ある気象条件の地域分布から出現する交通規制パターンの確率分布が推定でき,期待値としての所要時間信頼度および連結信頼度を算出した. (5)このモデルによって新設路線の雪害に対する効果分析,ロードヒーティング等の融雪施設の効果分析,また利用者への情報提供などが行える.
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