| 研究概要 |
港湾は市街地に近い貴重な水辺空間であることから,近年になって疲弊した工業地帯の再生の一方策として,水辺空間の市民への解放が行われてきている.これらの事例では,市民参加型でみなとづくり(港湾整備)を進める方法が全国各地で進められようとしている.市民参加型みなと・まちづくりでは,市民と行政との仲立ちを行うNPO(非営利組織)活動の存在が注目されている.しかし,このNPO活動は歴史が浅く,NPOの組織や活動のあり方,行政や市民との関わり方,活動の運営方法(活動資金調達や業務契約など)等々,港湾整備におけるNPOの関与方法は未だ確立されていないのが実態である.
そこで,本研究は,市民参加型港湾整備(みなとづくり)におけるNPO活動の役割を明確にし,NPO活動が関与した市民と行政のパートナーシップによる港湾整備の進め方のあり方を確立することを目的としている.
本年度は,既往研究のレビューを行うとともに,全国のみなとまちづくりおよびNPOによる交通まちづくりの事例を収集した.また,収集した事例を,事業目的や行政との関わり方,プロジェクトの進め方,財源確保方法,組織形態などの視点から整理した.その結果,みなとまちづくりにおけるNPOの役割をある程度明確にすることができた.
来年度は,引き続き事例の整理を行うとともに,いくつかの事例に対してヒアリング調査を実施し,NPOが関与した場合の効果を特定し,NPO関与による港湾整備のあり方について検討することを試みる.
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