研究概要 |
本研究では、(1)衰えが激しい高齢者や障害者が目的地にたどり着くための経路情報提供システムの開発、(2)障害のレベルに応じたバリアの程度とその評価値の設定、(3)インターネットGISによる情報提供、(4)バリアフリー整備を行う優先順位の決定の4点を目的に研究を行った。 特に、電動車椅子を利用している被験者7名について、個人の障害レベルに応じた日常的に外出する経路上の(1)縦断勾配,(2)横断勾配,(3)道路幅員,(4)路面状況、(5)交通状況、(6)歩道の有無などの評価項目に対する評価値の閾値の設定を行った。 閾値の設定では、被験者の障害のレベルや外出能力により「抵抗を感じる数値」に幅ができることから、被験者を3段階に分け、各段階での上限値を閾値として設定した。これらの閾値を基に豊田市中心市街地約80haを対象とした道路ネットワークで障害のレベルに応じた最適経路を探索出来るシステムを開発した。利用者は設定された3段階の障害レベル(外出時での能力)から利用者自身の障害レベルを選択することにより最適経路が探索できるように工夫されている。また、ネットワーク構築システムでは任意の地図でネットワークが構築出来るようにしてあり、現地調査を基に角リンクの閾値が3つの障害レベルで設定されており、これらの数値は簡単に修正出来るようになっている。当初豊田市のITSセンターのモデルケースとして本システムの導入が予定されていたが、高額な地図の著作権の問題発生して導入が出来ない状態である。本システムの課題が高額な地図の著作権にあることが分かり、この問題が解決すれば実用化が可能である。 本研究の成果は平成17年5月に浜松で開催された「高齢者・障害者のモビリティに関する国際会議」で発表し高く評価された。
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