研究概要 |
製品中に含まれる重金属は,製品使用後の処理方法によっては環境中へ拡散され、(1)大きな環境負荷を生じることとなり、同時に(2)資源の損失となることから、優先的に対処すべき対象と考えられることにある。また廃棄物資源化・処理は、製品ライフサイクルの最終段階に位置し、重金属を環境中へ放出するかどうかを大きく左右するプロセスとして、どのような方法を選択するかは重要である。本研究は,廃棄物処理システムにおける重金属フローを推定し、環境負荷、資源循環性を定量的に評価することを目的とする。 調査対象としたのは,以下の主要な資源化・処理システムであり,将来的に採用される可能性のあるプロセスも含めた。 (1)熱処理システム(焼却、灰溶融、ガス化溶融施設):主灰、飛灰、スラグ等の搬出物を分析し,施設内の重金属の挙動を明らかにした。 (2)変換型資源化プロセス(RDF化施設、堆肥化施設、メタン発酵施設)。選別残渣(除去)と製品への残留割合を明らかにした。 (3)物質回収型資源化プロセス(容器包装資源選別施設、家電リサイクル施設、粗大ごみ破砕施設)。素材回収による除去・回収、選別残渣への残留量を明らかにした。 (4)以上の分析値より可燃ごみ,不燃ごみ,生ごみなど,ごみ種ごとの重金属含有量を推定し,家庭系ごみの組成別排出量を乗じて家庭系ごみ中の重金属フローを推定した。 (5)環境影響を評価するため,溶出試験を行い,処理シナリオごとの重金属フロー、環境影響推定を行った。
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