研究概要 |
(1)長岡市公共下水道の合流区域(研究対象区域は約150ha)に観測小屋を設置し、オートサンプラー、流量計、雨量計も設置し、関東町吐き口からのCSOを約20ヶ月間常時連続観測した。 (2)観測結果より、今まで明らかとなっていなかったファーストフラッシュ、雨水による希釈、断続的越流、冬季間の消雪パイプによる定常的越流などCSO特有の水質挙動が明らかとなった。また、ファーストフラッシュによる濃度上昇は路面、管渠内の堆積物の影響が多大であり、堆積物の除去がCSO対策として有効であることが分かった。 (3)観測結果より、これまで444回越流が発生しており、1日に約1回越流していることが分かった。また、年間およそ50,000m3越流しており、年間汚濁負荷量についてはSSが60t、 BODが40t、河川へ放流されていることが分かった。 (4)流入量が0.4m3/sを超えると越流することも観測結果より分かっており、冬季期間においては、すべての消雪パイプが散水した場合、流入量が0.9m3/sとなり、雨水以外の流入でも越流することが分かった。 (5)長岡市におけるCSOが占める汚濁負荷量は、CSOの流量が年間放流量の7%程度であるのに対し、その負荷量はSS、 BOD共に30%以上を占め、CSOによる汚濁物の流出が大きいことが分かった。 (6)これまで把握されていなかった流出率を解明するべく、現地調査(CSO吐き口調査、雨水のみの吐き口調査、排水面積調査)を行い、現地調査のデータを用いてMOUSEでシミュレーションした結果、流出率は60%であることを解明した。 (7)合流改善対策案の1つである貯留施設を採用した場合、どのような効果を発揮するかMOUSEで検証したところ、越流回数を半減させるためには500m3規模の貯留施設が必要であり、汚濁負荷量を半減させるためには6,000m3規模の貯留施設が必要であることがシミュレーションの結果から分かった。
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