研究概要 |
本研究は、都市ごみ焼却灰やスラグ、これらから再生されたセメントなどの再生物、あるいは汚染土壌などからの重金属の溶出特性をより詳細に把握するため、欧州委員会で底泥中の重金属の形態を推定するために提示されたBCR逐次抽出法を基礎とした改良法を提示し、従来の溶出試験結果と比較するとともに、これら一連の試験結果から,試料からの重金属溶出のリスク評価を行ったものである。昨年度は,アルカリ性の強い再生物や汚染土壌にも適用できるように、蒸留水で抽出した後に酢酸で中和滴定を行う改良BCR逐次抽出法によって、試料中の重金属を6種類に分画する方法を提示した。また、Cr^<6+>を含む数種の試薬に対して試験を実施し、6つの画分の特性付けを行った。 今年度は、クロム以外の重金属を含む各試薬に対して試験を実施し、各試薬がどの画分に抽出されるかを調べたところ、酸化物の多くは酸可溶性画分に抽出されたが、酸化銅(II)や酸化鉛(IV)などのような重金属の酸化数が大きい酸化物の場合には、より抽出されにくい還元性画分として抽出されることがわかった。また、硫化物は酸化性画分に、炭酸塩は酸可溶性画分に抽出されることもわかった。さらに、環境庁告示第46号法やAvailability試験の結果と改良BCR逐次抽出法による結果を比較し、元素ごとの特徴を把握した。 これらの結果を元にして、汚染土壌中の重金属を改良BCR逐次抽出法で分画した。その結果、元素の種類や試料によって多少異なるが、改良BCR逐次抽出法における残渣や還元性画分中の割合が多かったことから、汚染土壌からの重金属の移動性は低いものと判断された。
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