資源・副産物・廃棄物のフローの評価対象としての具体的な環境負荷を定量的に統括評価することを目的として、処女資源投入量、副産物・再生資源投入量、エネルギー消費量、二酸化炭素排出量および廃棄物最終処分量(焼却灰埋め立て量を含む)の5項目について廃棄・副産物質の流れを考慮した総物質フロー分析を多角的に遂行した。物流センサスベースのデータに加えて、地域単位と産業単位での取引状況を評価するために産業連関表を全国物流データに連結することにより、製造業、建設業、鉱業など主要な第2次産業分野における地域間の物質フローと経済取引状況を統計的に解析した。 さらに、地域あるいは産業における効率的な環境マネジメントのための指針を提言することを目的として、全国47都道府県を対象に産業別の物質フローを把握し、地域経済と環境負荷を構造的に分析できる循環型社会指標を設定し、それらの指標を用いて循環型社会構築へ向けた具体的な課題の抽出を試みた。まず、経済社会をめぐる物質フローを、産業における3つの断面(入口、循環、出口)で切り取り、それぞれの断面を評価するための物質フロー指標を提示した。物質フロー指標には3つの指標を組み合わせた総合指標も含まれる。本研究では、産業を通過する物質の代謝について、入口、循環、出口の3つの断面から連続的にスライスしたことで、対象としたシステム全体を最も良好にするための手段を個々の切り口の評価と照らし合わせて議論することができるようになった。また、物質フロー指標で捉えきれていない環境側面は、自立循環指標を用いて評価することができた。加えて、都道府県・産業単位に分割して評価したことによって、地域経済のいずれの断面において重点的に環境対策をすべきかが構造的に把握できるようになった。
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