研究概要 |
15年度は、基質として人工フミン物質、自然汚濁水の二種、光源としてブラックランプ(BL),ケミカルランプ(CL),人工太陽灯の三種を用いて、ガラス管薄膜光触媒による難分解性有機物質の浄化実験を行った。人工フミン物質は、市販の薬品を一定の割合で蒸留水に混ぜ、一定期間加温しながら攪拌して溶解させたもの(フミン酸)で、TOC濃度を10〜20mg/lに調整した。自然汚濁水は、本県米代川水系、森吉ダム上流の渓流水に生じている着色色度水とダム湖底部の高色度水の二種である。光源はBLとCLは10W及び20w、人工太陽灯は100wのものを用いた。 まずフミン酸に関して、CL20W2本、室温での実験では、光触媒薄膜無しでは10日経過でも数%のTOC分解しか得られなかったが、膜有では同約60%の分解が得られ、光触媒の効果が確認できた。が、プロピオン酸等と比較すると、除去速度係数がかなり小さく、難分解性であることも認められた。分解速度の温度依存性に関しては、BLで温度係数が1.038と求められた。また、直径の異なるガラス管を混ぜて膜面積を拡大した時、除去速度係数は放物線的に増大し、面積の増加が除去速度の鍵になることも確認できた。人工太陽灯に関しても同様な機構での分解効果が得られたが、照度が大きい割に速度係数とも確認は大きくではなく、波長が有機物質の分解に影響を与えていることも確認できた。自然水の分解では、ごく初期に濃度が低下した後ゆっくりとした分解が進む二段階の反応が見られ、この後の反応が難分解性物質の除去で、速度係数は人工フミン酸よりも小さく、実試料への応用ではさらなる検討が必要なことも解った。
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