平成16年度は、15年度の研究を発展させると共に、蛍光灯も用いた光照射に伴う藻類と栄養塩の動態に関しても検討を行った。主な結論は以下の通りである。 まず人工フミン酸の分解に関して、ブラックライトの分解速度係数に関する温度係数は1.034と確認された。光源の違いに関しては、ケミカルランプよりもブラックライトの方が速度係数は約2倍大きい結果が得られた。また光源のワット数の影響では、約0.4乗に比例して速度係数は増大する結果となり、大きな光源を用いる利点は少ないことが分かった。一番大きな影響を持つのは膜面積であり、この1.3〜2.3乗に比例する結果が得られた。初期濃度は光の透過に大きな影響を与え、速度係数はほぼ初期濃度に反比例することが分かった。従って、薄膜光触媒法は、濃度の小さな排水の処理に適していることが確認できた。 本研究で用いた人工太陽灯でのフミン酸の分解速度係数は、他の光源(ケミカルランプ、ブラックライト)に比べて1/2から1/4の大きさであった。自然水でも同様で、使い方は限定されるが水処理への応用も可能であることが認められた。 次に、栄養塩の除去に光触媒法が適用できるかどうかの検討を行った。その結果、蛍光灯の照射で藻類は増殖し、それに比例して総窒素の除去が期待できることが分かった。同時にCODは上昇するが、光触媒とブラックライトを併用することで分解でき、CODの除去も可能であった。このように、時間はかかるが蛍光灯、ブラックライト及び光触媒を組み合わせることにより栄養塩の除去もある程度可能であることが確認できた。
|