研究概要 |
本研究の目的は,円形および角形のコンクリート充填鋼管(CFT)柱を用いた筋違付き骨組について,強震下の鋼管とコンクリート間の応力伝達性状を明らかにし,付着設計法および機械的すべり止めの定量的判断基準を提案することである.以上の観点から,平成15年度は次の事項を明らかにした. (1)CFT鋼管の押し抜き試験による高強度・高流動コンクリートの付着強度調査. 外径150mmの角形綱管と191mmの円形鋼管に30MPaの普通コンクリートあるいは60MPaの高強度・高流動コンクリートを充填した短柱試験体を製作し,ベースは鋼管のみを支持し,頂部はコンクリートのみを圧縮する押しぬき試験を行った.その結果,付着強度は角形鋼管で0.4MPa程度,円形鋼管で1.2MPa程度を得た.コンクリート強度による違いはなかった.同様の材料で,ベースは鋼管のみを支持し,頂部はコンクリートと鋼管を同時に圧縮する頂部平押し試験も行った.その結果,角形鋼管で0.14MPa,円形鋼管で0.20MPa程度の付着強度を得た. (2)有孔ダイヤフラム付きCFT鋼管の押し抜き試験 同様の材料で,有孔通しダイヤフラム1枚を挿入したCFT短柱試験体を製作し,ベースは鋼管のみを支持し,頂部はコンクリートのみを圧縮する試験を行った.その結果,ダイヤフラムの孔径を大きくし,鋼管内部の突起高さを数mmまで小さくした試験体でも充填コンクリートのシリンダー圧縮強度にほぼ達した.ダイヤフラムの板厚と孔径を変化させて,充填コンクリートが圧壊する場合,ダイヤフラムが塑性変形する場合,および両破壊が同時に生じる場合の3通りの崩壊形式が確認された. (3)CFT柱とH形鋼梁および筋かいで構成されたト字形骨組試験体の繰返し加力試験 本年度の結果を基に骨組試験体を設計した.実験のためのピン支点装置,加力用骨組の設計・製作を完了した.次年度に骨組試験体を製作して加力試験を行い,付着力や機械的すべり止めの効果と骨組の耐震性能を明らかにする.
|