研究概要 |
1.梁端に生じる塑性変形の検討 地震応答解析結果に基づいて梁端の塑性変形について検討し,最大層間変位角から梁に生じる塑性変形を評価する方法を提案した.解析には,既に開発している一般化ヒンジ法による非線形地震応答解析プログラムclub.fを用い,標準的な設計が施された15の骨組,40の強震記録を利用している.考察の対象は,最大塑性回転角だけではなく,塑性回転角の変動幅や累積塑性回転角,更に各回の変形で生じる塑性回転角の増分にも及んでいる.この結果は,日本鋼構造協会鋼構造論文集に発表している. 2.1次元有限要素法による解析プログラムの開発 梁端の(巨視的)歪度履歴や応力上昇を評価するため,1次元有限要素法による非線形地震応答解析プログラムを開発した.材料の応力度-歪度関係としては,等方硬化と移動硬化を考慮できるように,京都大学辻文三教授らの提案するIKモデルを採用している.この方法による解析結果が,既往の実験値を十分な精度で追跡できることを確認した. 3.梁端の応力上昇率の定量化 上記1.で同定した変形履歴の下で,2.で開発した解析プログラムを用いて,片持ち梁の静的解析を行い,梁端の応力上昇率について検討した.鋼材の材料特性さえ既知であれば,最大層間変位角から梁端の応力上昇率を評価できる形に纏めている.また,この応力上昇率の評価法の妥当性は,1次元有限要素法による広範な地震応答解析結果によって検証している.以上の結果は上記2.の結果とあわせて,日本建築学会構造系論文集に掲載予定になっている.
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